【導入事例】竹中土木様
株式会社竹中土木は、土木工事を通して全国各地で人々の生活を支える土木専業企業です。土木工事の作業所(現場)では、工事の進捗に伴い、必要な物品の購買業務が絶えず発生しますが、購買手段の多様化に伴い、決められたルールの適用が難しくなり、統制がとりにくくなります。
そこで同社は、複数のECサイトを一つの窓口で扱えるKOBUYを導入し、間接購買の標準化を進め、発注から原価管理までのデータ連携に取り組んでいます。
株式会社 竹中土木
従業員数:1,008名(2026年1月現在)
事業内容:土木分野を基軸とする総合建設業
課題の出発点:
作業所の“買うところがない”、“時間が惜しい”と、
EC利用の分散防止
土木工事の作業所はインフラの整備が必要になる不便な地域にありがちなので、ちょっとしたモノを調達するだけで、遠くまで時間をかけて移動しなければならない場合があります。一方で、無制限にECサイトの利用を認めるとアカウントが乱立し、購買ルールに対する統制が弱まります。こうした課題感について聞きました。
ーー作業所の購買では、どんな不便やムダがありましたか。
葛本さん
「まずは、モノを買うために貴重な業務時間をとられるということです。電話一本で対応してくれる協力会社さんもあるのですが、便利な反面、どうしてもコスト的には条件が悪くなってしまいます。コストのことを考えれば、できれば市場競争原理が働くECサイトを使いたい、というのが本音でした。
作業所では以前からアットオフィスを利用した事務用品の調達が標準化されていましたが、仮設で使う道具や少量の材料、工具などは対応できる地域的な制限や品ぞろえの問題から、利用者の評価によって、使いたいECサイトが分散していきます。購買手段の分散は“選択肢が増える”反面、価格・手続き・管理のばらつきを生んでしまうのです」
ーーECサイト活用が広がると、どんなリスクが出てきますか。
葛本さん
「ECサイト、例えばモノタロウやアマゾンを使う場合、担当者がそれぞれにアカウントを作って使い出してしまいますが、業務として使用する限りは、会社としてのガバナンスを効かせる必要があります。KOBUY導入にあたってはこのような思いから、共通のルールの中で動く仕組みつくりをしたい、と考えていました」
葛本さんの原点:
作業所経験が生んだ“当事者意識”と熱量
作業所事務から内勤の管理部門まで経験した葛本さんは、発注作業や経費の立替精算などの事務的な手続きが作業所の負担となり、最終的には内勤部門までその影響を受けることを肌で知っていました。だからこそ、「業務の上流から下流までデジタルで一気通貫させる」というビジョンと覚悟があった、と振り返ります。
ーー推進を任されたとき、どこまでやるべきだと考えましたか。
葛本さん
「技術・生産本部では、“働き方改革”を実現するにあたり、作業所業務のスリム化の一環としてKOBUY導入を検討されていたのですが、導入するのであれば、組織横断で、発注から支払い、工事原価への計上までの業務を、一気通貫で繋いでしまいたいと思いました。KOBUYに協力を仰ぎながら、仕組みを作っていきました」。
こだわったのは“作業所の手間が減るだけ”ではなく、原価を正しく捉える流れまでを一本化するとともに、会社としてガバナンスの利いた仕組みを作ることでした。KOBUYの存在を知った当初は、ECサイトをまとめて扱える仕組みがあること自体を知らなかったといいます。そこでグループ企業の導入事例も参考にしながら、自社ならどう設計すべきかを一つずつほどいていきました。
ーKOBUY導入計画に合わせて、業務をどのように変革しようと考えましたか。
葛本さん
「作業所のノンコアな業務をできるだけ減らし、かつ内勤部門や原価管理にもメリットのある仕組みづくりを目標にKOBUYとカスタマーサクセスを活用しようと考えました」。
※「ノンコア業務」:作業所で本来注力すべき業務以外の業務を指します。
仕組みづくりの舞台裏:
自分を追い込み、全社展開までを設計する
導入プロジェクトは2023年夏に着手し、2024年6月の全店一斉スタートをマイルストーンとして設定しました。本社での試行→支店説明会へと段階を踏み、短期間で運用を揃えるロードマップを設計。関係部門の調整やルール整備、導入手順などのマニュアル作成も並行し、導入を“現場任せ”にしない体制を作りました。スピードと丁寧さを両立させた点が特徴です。
ーー短期間で全社展開まで進めるうえで、葛本さんが意識したことは何ですか。
葛本さん
「作業所にとって“新しい手続き”に変わることは負担になります。だからこそ、使い方だけでなく、なぜ統合が必要なのか、何が楽になるのかを作業所に言葉で説明できる状態に整えました。また、期限を明確にすることで、いつまでに何を変えるかを共有し、導入工程を利用者の“自分ごと”にしていきました。」
利用者、作業所事務や管理部門にとっての業務の最適化を念頭にスキームを組み立てていきました。全体の設計はほぼ一人で形にしつつ、データのハンドリングや財務処理の専門領域は社内の専門部門とも連携し、筋の良い運用に落とし込みました。
定着の秘訣:
左右したのは“現場への翻訳”
葛本さんが自ら説明し、改善を回す
定着の鍵は作業所、内勤部門の各“現場”での納得感です。説明会の前面に立ち、一般論では届かない運用の勘所まで伝え、さらに自分たちで育てる文化を促し、改善要望を吸い上げながら仕組みに磨き続けています。
ーーなぜ、説明会を葛本さんご自身が担当したのですか。
葛本さん
「運用の説明を外部のサポートスタッフに任せてしまうと、概して一般論で終わってしまい、現場に伝わらず、浸透しません。
現場に届く言葉にするには、現場で起きる“あるある”を踏まえた説明が必要です。そのギャップを埋める役割を自分が担うと決め、質問が出やすい場づくりまで含めて伴走しました」
ーー運用改善は、どのように進めていますか。
葛本さん
「今回のKOBUYについて、「サービスは自分たちで育てていこう」、という意識付けをしています。悪いところを直していけば、自分たちの使い勝手がもっと良くなるスパイラルアップが期待できる。だから悪いところは全部言ってください、と。
一方で、利便性が高いからこそガバナンスが緩まないよう、購買実績データを分析ツールに取り込み、どんな現場がどういうものを購入しているかを可視化し公開しています。利用促進のきっかけづくりと、購買状況を共有する牽制の両面を狙った運用です。便利さを広げながら、会社としてのルールを守れるようにしています。
そのバランスを取り続けていること自体が、葛本さんの継続的なコミットメントと言えます。
これから:
基幹連携とデータ活用で、
購買を“経営の武器”にする
次の狙いは、社内のワークフローシステムや基幹システムとの連携強化によって購入前の決裁から工事原価反映までを自動化し、手入力のムダとミスを減らし、処理のリードタイムを短縮することです。加えて購買実績データを蓄積し、副資材の調達を戦略的にとらえ、単なる作業所業務の改善から経営の強みに変えていきます。購買実績を“作業記録”から“経営資源”へ引き上げる構想です。
ーー今後、KOBUYに期待していることを教えてください。
葛本さん
「現在、KOBUYは社内システムから独立しており、基幹システムとのデータのつなぎ込みや、高額物品の購入制限などで、まだまだ手作業を残しています。社内ワークフローシステムや基幹系のシステムがもっと連携してくれれば、決裁、発注、経理処理、個別工事原価というところまで人の手を介さずに全て実現することができ、ヒューマンエラーによるミスを根絶し、手戻りやムダなチェックが不要になるでしょう。同時に活用できるデータの蓄積にも期待できます。」
ーー購買データの価値については、どう捉えていますか。
「データがたまっていけば、調達価格の交渉力も当然上がってくる、と考えています。
作業所のノンコア業務を減らし、購買の統制と原価管理の簡素化を強め、さらにデータを経営に活かす。ツール導入で終わらせず、仕組みを根付かせて次の改善につなげることに向いてこそKOBUY導入は、竹中土木にとって、購買DXの起点であり、継続的な改革のエンジンとなり得ます」
竹中土木への導入は、まだ始まったばかり。半年、1年と、KOBUYの活用が進むにつれて、どんな成果が上がってくるのか。KOBUYインデックスではデジタル化率と業務短縮の時間を指標としており、KOBUY以前と以後のデータの比較を、継続してお伝えしていきます。